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2021.1.12

結露

車検のために、車を出しに行ってきた。
大きな車屋さんで、いつもはたくさんの方々が働いてるけど、
今日は少ないように思えた。
受付してから見積もり打ち合わせに入るまでに、
ずいぶんと待たされた。
分散出社とかしてるんだろうな。
あらゆる場所、至る所で、
今は大変なことと向き合ってがんばってるんだろなぁと、
ふと思ったりした。

待合室の大型テレビでは、
アメリカの武装抗議デモ警戒のニュースが流れていた。
世界がマスクと必死で戦ってる時に、
何やら、とっちらかってる世界が、
今もこうして続いていたりもする。

さて、車検の見積もりは、車検だけに。。
なかなかのお値段。
ふんばらなければです。

車を預けて、帰りは電車。
駅は大きなショッピングモールと隣接していて、
せっかくだから寄り道して買い物でもしていこう・・と、
屋外モール内のキャンプ用品屋さんへとテクテクと向かった。
けれど、空からは、細かな雪。
首元が寒すぎて、やっぱりやめようと、
駅の改札のすぐ前にあるキッチン用品屋さんと、KALDIだけに行った。

なんだかな、
少し、無駄使い的なことをしたい気持ちがいっぱいだったのだ。
そして、
キッチン用品屋さんでは、便利な軽量スプーンってやつを
500円ぐらいで買った。
KALDIでは、パスタ用のトマト缶とか、マスタードハニーなんちゃらとか、
石垣島のピニオン・ラー油とか、ガーリックパウダーとか、
こまごましたものたちを買ったのだった。
不要不急?な、ものたち?
それでも、
胸がときめいたから。

お腹がすいてきて、
エスカレーター横のハンバーグ屋さんのショーウィンドウをずいぶんと眺めていたけれど、
がまんしよう・・とやめた。
さっきまでのパラパラと舞っていただけの雪が、本格的に降り出したりしていて、
気持ちものほうも、やけに寒くなってきたからだった。

電車に乗って、本を読んだ。
あともう少しでこの本も読み終わる。
けれど、まだまだ、
ドラマティックに物語が変容していく気配がちっともない。
このまま、たんたんと終わってしまうのかと、少し心配になったりする。

3駅ぐらい過ぎたところで、
やっぱりお腹がすいてるなぁと思ってぼんやりしてると、
失速した電車からラーメン屋さんの看板が見えた。
“一風堂”。
わぁ、懐かしいな。
いつ以来食べてないだろ。
大阪の心斎橋あたりの、あのスタバの隣の一風堂で夜中に食べた以来か?
いや、多分、岡山の大通りにあった一風堂で食べた以来かもしれない。
もしそうなら、あの時は、サポートミュージシャンとして旅してた頃だから、
相当、前だわ・・・

・・とかなんとか、気づけば、途中下車して、
その看板に記されていた一風堂へと向かっていた。

ホームから階段を昇ろうと見上げた時、
一段一段、立ち止まって、階段を昇っている制服の眼鏡の少女がいた。
一段昇っては、そこで立ち止まって、あたりをゆっくり見渡して、
そして、また一段進む。
そして、そこでまたゆっくりとまわりを見て、
また一段進む。

少しの間、その眼鏡の少女を、見ていた。
彼女にしか見えない風景や、
彼女にしか感じ得ない気持ちがあるんだろうなぁと、
見ていた。

そんな、彼女だけが生きている世界が、
なんだかとても尊く思えてきて、
自分にもきっと、
そんな世界があったはずだったような気がすると、
少し、ふわふわと考え事をした。

そして、僕は、彼女を階段の半分ぐらいのところで追い抜いて、
改札を出て、ラーメン屋さんへとエスカレーターに乗った。

一風堂のラーメンは美味しかった。
美味しかったように、思う。
けれど、
おしかったなぁ・・
頭の中には、さっきよぎった、
「自分にもきっとあったはずの世界」のことが気になっていて、
せっかくの、何年ぶりかの一風堂のラーメンを深く味わえなかったのだった。

静寂の世界へ・・
さっきの眼鏡の彼女が生きている、
静寂の世界へ、
いつかの自分がそこに生きていた世界へ、
時には、ふっと飛んでいってみたいものだと、
そうグルグルと思っていた。


帰ってきて、
少し疲れて、ベッドに入って、
エビのような格好でうずくまって昼寝をした。
毛布ってあったかいなぁ・・と。

そして、
窓の向こうが暗くなる前の頃に起きて、
ピアノを弾いた。
よぎった詩のようなものも書き綴った。
よぎったメロディーも、録音したりした。

フィジトレは、30分だけやった。

そして、
さっきのさっきまで、
またお風呂に浸かっていた。
最近は、よくお風呂に入ってるなぁ・・・と、
浸かっていた。

なんだか、冬だなぁ。
冬って感じなんだよなぁ、
なにもかもが。