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2021.1.16

ふっかけ

水色の水平線に、
すごくクッキリとした虹が見えた、
そんな夢を見た。
なんか、とても、
それは絵のように綺麗だった。

それと、
もう、
夢の中のシチュエーションは覚えてないけど、
学生の時のピアノの先生、
学長先生が夢に出てきた。
途切れ途切れに眠りながらに見た中のひとつの夢だったから、
多分、
虹が見えた夢の時とは違う章で、
出てきたかと思う。

起きてから、
ひどく懐かしい気持ちになった。
そして、
なんで、今?学長出てくる?と思った。

「しっかりと鍵盤をつかんで弾きなさい。
芯まで音をとらえて、弾きなさい。
小手先で、弾こうとしない。
音をしっかりとつかんで、弾きなさい」
卒業間近だったかな、
ある日のレッスンで言われた言葉が、
今も、時々蘇る。
それほど、痛烈に・・・、
その言葉が、
あの時、胸にこたえたもんだ。

確かに、オレは小手先で弾こうとしていた・・
ある程度で、上手く弾こうとしていた・・
と、
自分のずるいところ、
その音楽に対してナメてたところを、
あの時、見抜かれ、
びしっと指摘されたように思った。
本当の意味での、
お叱りだったように思う。

今、あれから数十年が経って、
その先生の言葉は、
音楽に対してだけじゃなく、
人生についてや、
人に対してのことについても、
なんだか響いたりする。

「うわっつらじゃダメだ。芯まで、しっかりと」
という、その言葉の意味が、
なにか、全てに響いてきたりする。

寝坊した寝起き、そんなことを考えていた。

     ☆

お昼時に食べた朝ごはんは、
「ひさびさ白飯だ!」と、
映りの悪いキッチンのワンセグTVを観ながら、
豚汁を飲み、
白飯とキムチと”ごはんですよ”と納豆を食べた。

TVでは、片付けについての話しをしていた。
「旅から帰ってきて、すぐ、
僕は、そのカバンにつめてたものを、
全て、もとあった場所にあった場所にしまって、
そのカバンも、チャチャっと、もとあった場所に片付けます」
・・と、大谷さんっていう俳優さんが言っていて、
「えーー、すごい!」と、
それを囲むレギュラータレントさんが驚いて、
「いやいや、わかります!」と、
ローランドさんっていう人がうなづきながら、

「物には、それぞれ住所があるんです。
帰る場所があるんですよ」
・・というようなことをズバッと言っていた。

わぁ、なるほど。わかりやすいなぁ・・と感心した。
そのローランドさんのことを、前からTVで観たりしてて、
なんとも思わなかったけど・・逆に、やや、なんか好きにはなれんわ・・と
思っていたけど、
今日、その人が話してたいろんなことを聞いてて、
頭がいい人だなぁ・・品がある人だなぁ・・・と思った。

物にはそれぞれ帰る場所があるんですよ・・なんて言えるその人は、
誰かに良い教育を受けたか、
もしくは、自分でそういうことを感じて日々生きている人か、
もしくは、ふとした、そういった教えみたいなものを、
今でも覚えていてしっかりと生きてる人なんだろなぁと思った。

大谷さんもローランドさんも、
とても謙虚で、
ご飯を食べながらも、
その言葉たちはとっても心地よく頭の中に入ってきて、
ご飯を決してまずくさせなかった。

     ☆

午後になって、曲まとめをしようとピアノに向かった時、
昨日の、デザイナーさんとの話しがふいに蘇った。
クリスマス前に、お母さんを亡くされていたという話し。
そして、残されたお父さんの、それからの生活の話し。
そして迎えた、お正月での出来事の話し。

昨日の話を思い出しながら、
もうずいぶん前の、
大切な人を亡くした時の、あの仲間の姿を思い出していた。
そして、ピアノをポロポロと奏でてみた。


     ☆

一息ついた時、
また、夢で見た、学長のことと、
学長が自分に残してくれた言葉を思い出して、
無性にクラシックピアノの練習がしたくなって、
「いいんじゃん、ひさしぶり、運指の練習でもしよか」と、
ハノンと、ショパンのエチュードと、
ついでに、ベンフォールズ・ファイブの楽譜集を出してきて、
それらを見ながら、ピアノ練習をした。

メトロノームを聞きながらの運指の練習は、とても新鮮で、
これからも毎日しようと思った。

ショパンのエチュードからは、右手が凄まじく動く曲と、
左手が凄まじく上から下へと飛ぶ曲、
2曲を選んで、
それぞれ、その1ページずつを丹念に練習してみた。

懐かしいなぁ・・・なんて思いながら・・
「目をつぶって弾けるぐらいまで練習しなさい」と言われていた、
その頃のことを思い出して、
目をつぶって、左手練習をしたりした。
これはもう、
芸ですね。
でも、
それは、
必然的なことだったりもする。
そう、
目をつぶって弾けることが当たり前なのだ・・
ということを噛みしめながら、
まずは、とことん1ページを練習した。
これも、
これから、
続けていこうと思う。

ベンフォールズ・ファイブに関しては、運指というより、
リズム練習だ。
右手左手が交互にやってくるシンコペーションの嵐。
これも、練習していくに損はなし。

あっという間に時間がすぎた。
そりゃそうや。
それぞれに、1ページ30分以上の練習に取られるわけで、
あっという間に時間がすぎる。

     ☆


何がどうあれ、
夢でも、
現実的にふと見て気づくことにしろ、
それは、もしかしたら、
「・・で、それを見て、どうすんねん?これから」というようなことが
ついてくることがあるかもしれない。
まるで、神様さんのいたずらな、ふっかけのように、
「なんで、今?これ見た?・・なんで、今、これ、オレに見せた?」的に。

そんなこんなを考えながら、
今日は気づかされるものに動かされ、
土俵ひとつ、また、
新たに踏み始めたような日だった。


夕方、
本屋さんに、
ソクラテスについての児童書を買いに行った。
これもまた、
昨日ぐらいに読んだ本の中で、
哲学者ソクラテスについて書かれていたことがあって、
どうせなら、
もう少し、ソクラテスさんのことを知っておきたいなぁ・・・と、
本屋さんに行かされた、
そんな時間だった。