2019-04-22 Mon


ギターをしょって、ピアノを引きずって、
ノートの入ったカバンをぶら下げて、
歌いながら、テクテクと道を歩いて。


曲がりくねった道、
行き止まりの道、
引き返したり遠回りした道、
川を見つけ、
橋を渡り、
新しい空を眺め、
向かい風に手を広げ、
テクテクとテクテクと。


歌のかけらを拾いながら、口ずさむ歌の続きを探しながら。
時には石ころにつまずいて、転んで。
時には疲れて、ずいぶんと眠ってしまって。


思い出にせつなくなったり、未来に不安がったり、
悔しさに泣いたり、楽しさに笑ったり、
テクテクと道を歩いて。


道すがら、たくさんの人に出逢って。
ボクの歌を愛してくれる人にも出逢って。
ボクの歌を一緒に歌ってくれる人にも出逢って。
ボクの歌で踊ってくれる人にも出逢ったりして。
ボクの歌を世界中にばらまいてくれるために、
働いてくれる人たちにも出逢って。

そして、また先へと行くために、
手を振って、別れて。


旅の途中で聴いた歌で、ボクもまた感動して。
引きずっていたピアノで、
その歌を歌う人のそばでピアノを弾いたりもして。
拍手をもらって、風景をもらって、宝物をたくさんもらって。

そして、また、サヨナラと手を振って、
ボクの歌の続きを探しに、旅立って。



ふと顔を上げたら、
目の前に続く道には、また小さな橋があって、
その橋には26番目と書かれていた。

ボクはまた、当たり前のように、その橋を渡る。
この道がボクの道で、
この道の先でボクを呼んでいる、
未来のボクがいることを知っているから。


ふっと道を振り返れば、
25年もの間、
いろんな顔をして、
いろんな歌を歌いながら、
テクテクと歩いてきた自分の姿が、確かに浮かぶ。
出逢ってくれた、
たくさんのたくさんの人たちの姿も。


「よぉーー。行ってくるやっさ。」と、
後ろのボクらに手を振って橋を渡ったボクは、
また、ここから歩き始めるんだ。


新しい空を眺め、
向かい風に手を広げ、
テクテクとテクテクと。




| 09:17 | CATEGORIES:自画像 |
2019-04-18 Thu


リハーサルスタジオの片隅、
スピーカーの前、
“マスタードあり”のシールが貼られたカツサンドを、
「ガムっ」と躊躇なく、かじると、
懐かしい懐かしい味がした。


リハーサルの”ケータリング”って呼ばれる軽食は、
近くのスーパーで、オレが買うんだ。
「キム兄、なに好きだったかなぁ・・スティングさん、最近なに食ってんかなぁ」
・・なんて、ひとり、あーだーこーだ、巡らせながら・・。


             ☆


小学校2年生までかな、水泳を習ってた。
東京下町、
京成電鉄、
小岩駅で降りて、そこから線路沿いの道を、
弟とテクテク歩いて、
週に一回だったかな、
そこに通ってた。

帰り道はさ、よく、
仲間たちとぞろぞろ歩いて、小岩駅に着く前の小さなパン屋さんで、
「なんか、食おっかー」なんつって・・
寄り道して。

そこで、オレは、パックに入ったカツサンドをよく買って、食った。
オレら同級チームの列の後ろに、いそいそと付いてきた弟に、
「おまえも食うかぁ~」なんつってさ、
そのカツサンドの、ひと切れを渡したりなんかして・・。


今日食べたカツサンドは、
本当に、
その頃の、懐かしい、懐かしい、味がした。


バンドメンバー。
キム兄が、じゃがじゃーん・・・なんて音を出し、
スティングさんが、ブベベン、ブベベン・・・なんて音を出し、
サジちゃんが、すぱんすぱんとスネアを叩き、
ワタルが、キャリンキャリンと音を出す。

準備を終えて、一息ついたオレが、丸椅子にダラっと腰掛けて、
カツサンドかじって、
それらを眺めながら、
なんだかさ、
本当に、
懐かしい味がした。


弟の名前は、
アツシって名前で、
オレが小学生1年生まで、生きてた。
病気で死んじゃったけど。

その、
アツシが、さ、

「お兄ちゃん、これ、おいしいねー」
なんつって笑って、
オレを見上げてた、

その頃の風景に、

今日は、時間、
しゅるしゅるしゅる・・と巻き返されて・・。。

とても、
懐かしい味がした、カツサンドだった。


「リハーサル。みんな、さ、最高だった。

一生懸命な、子供みたい・・一生懸命。

・・なっ・・だろ。

お兄ちゃん、わりと、

がんばってるぜ。」


| 22:30 | CATEGORIES:ステージへの道 |
2019-04-17 Wed

朝起きて、昨日かじり残していたチョココロネを食べた。
カーテンの向こう、外はまだ静かな静かな白い街。
昨夜は、やり残したことがあったまま、
いやー、もうダメだわ・・と寝た。
ふっと電車の中でのうたた寝から目覚める時のように、今朝は目が覚めた。
とても早い時間だったけど、旅の洗濯もあったし、
今日のリハーサルの準備やレコーディングのための準備、
ツアーのホテル取り手配、グッズ整理・・あぁ、やることいっぱいやぁ・・
と、そのまま起きて、
朝早くから冷たい水に手を晒して豆腐を作る職人さんのような気分で、
せっせと動いた。
こういう時には、自分を、「せっせくん」と命名したい気持ちになる。

昨日のリハーサルは、本当に楽しかった。
何が?というわけではないけれど、
集まってくれたバンドメンバーと音を出し、歌い、アレンジを作ったり見直したり、
そしてまた音を出し、その音のうねりの中で飛んだり跳ねたり、拳を上げたり、
その全てが、楽しかった。

帰り道はひとり、
ギターを背負って、左肩からはバッグをさげて、ぷらぷらと夕暮れの道を歩いた。
誰ひとり歩いていないガードレール沿いの一本道、
ふわっと風が吹いたりすると、なんだか、「本当に幸せだなぁ」という気持ちが溢れた。
ひとりの歌うたいのために、たくさんのミュージシャンがスタジオにやってきてくれて、
その歌うたいの歌のために、みんなが顔を突き合わせて、あーだのこーだのとアイデアを出し合い、
音を出し合い、ステージへと向かってくれている。
オレは、幸せものだ。
そう、いつしか上を向いて歩いた。
そして、ステージに向けて自分がすべきこと、本番日、自分が手を伸ばしてつかみたいこと、
そんなことが胸の中にムクムクと湧いて、わーっと叫びたい気持ちになった。

さて、今から、レコーディングのほうの準備。
歌録りが終わった曲のファイルを一曲ずつ作って、
それらをデザイナーの方や、リズムアレンジャーの方に送る。
アルバムブックレットイメージや、アレンジの最終的な詰め作業を少しずつ、一歩ずつ、
残りのレコーディング作業とともに進めていかないと・・です。

そして今日は、『ぶらりふたり放浪記』のスタジオリハーサルと、
アルバムレコーディングのほうのコーラスレコーディング。

いやいやーーー、
せっせくん、がんばらないとーよー。

あれあれ、遠くにいたはずの船が、もう目の前の岸辺まで来てるよ・・。
そんなふうに、毎日が近づいてきて、そしてまた次の毎日がやってくる。

まずは、
デビュー25周年最後の4月20日の渋谷セブンス・フロアの弾き語りライブ、
26周年始まりの4月21日の渋谷エッグマンのバンドライブ。
無心で、そこに向かっていこうぞ。

| 06:53 | CATEGORIES:ステージへの道 |
2019-04-10 Wed

染谷俊デビューシングルは、この日。
1993年4月10日。
スタッフの方々や、自分自身の中で、
「アルバムデビュー4月21日がデビューだ!!」なんて、
あの頃、盛り上がってたからね、そして、
デビューライブもあったりで。

でも、染谷俊、
世の中に顔出し、歌出ししたのは、
確かに、
何十年も前の今日なんだ。

メッセージや、コメントや・・
ありがと。
本当にありがとう。

そして、
何十年も前の自分も、肩をすぼめながら、喜んでるよ。
「何十年経っても、祝ってくれるんだな」なんて、
スカしながら。。

あいも変わらず、
今日も、次の染谷俊に向かって、
いろいろとやっている。

なんて、
幸せかっ。

新曲、
『カムバック・ヒーロー』の最後のフレーズが、
脳内連呼。
です。
明日へ向かって、
おやすみ。に向かう。


『カムバック・ヒーロー』歌詞から抜粋・・・・・・・・

“オレは消えないぜ
オレはやられないぜ
やられても 立ち上がるぜ
不滅だよ カムバックヒーロー

どこかにきっといるぜ
必ず やってくるぜ
ずっと そばにいるぜ
やばいだろ ready ! カムバック ヒーロー”


| 23:30 | CATEGORIES:I appreciate it |
2019-04-10 Wed


朝は強い強い風が吹いていた。
木々の葉っぱが揺れて、シュワーっと、道いっぱい、
波間のような音がしていた。
シャッターの閉まったお店の前では、
どこかに引っかかった缶からがカランカランと孤独に鳴っていた。
人通りもなかったものだから、
古い西部劇映画の中にいるような気持ちになった。

そういえば、
目覚めてすぐ、メロディーが浮かんできたから、
E-ピアノの前に座って、ららららーと歌いながら録音した。
多分、これは、バラードでしょうか・・なんて。


今日は、自分の免許更新日。
実のところ、本当は、もっと前が更新日。
わけあって・・・っていうか、オレ、交通違反者ね、
だから、講習を受けて、ようやく、今日、更新免許をいただきました。
朝9時に、講習受付しての、
お昼まで、2時間、講習を受けました。
すごく勉強になった。
久しぶりだな、なんか、学校にいるみたいだった。


午後から、レコーディング。
昨日、車を預けちゃったもんだから、今日からのレコーディングは電車通い。
これはこれで、いつもと違った景色と心持ちの移動。
カバンの中には、小説やらエッセイやらの単行本。
電車に揺られ、窓際にて、それらを時折読むのだけれど、
ふと、窓の向こうの景色が気になって、ぼんやりと流れる景色を眺める。
あと何回、この景色を自分は眺めるのかなぁ・・なんてことを、
独り、列車の隅で思うやつがいるんだ・・なんてことを、思ったりしながら。
ビル街。汚れた看板。交差点の人だかり。悲しい感じの空。マンションの群れ。
こじんまりしたアパート。悠々とした木々。小さな公園。昼間のしけた繁華街。
渋谷、原宿、代々木、新宿、新大久保、高田馬場、目白、池袋。

改札を抜けた池袋駅は、懐かしの風景。
学生の頃、通ってた風景。
人混みの中でよくイライラしてたなぁとか、昔の彼女とここで別れたなぁとか、
そんなこんなを秒区切りで脳内巡らせながら、
人とすれ違い、人とぶつかり、振り返り、うつむき、きっとしながら、歩いた。
途中、綺麗になった構内でおにぎりをひとつ買って、
そのビニールを引きちぎり、頬張り、
また乗り継ぎの西武池袋線のホームへ急ぎながら、歩いた。

そして、
スタジオにて。

今日は、
『歌にして』という歌を歌った。
激しく、喉を枯らしながら、びしょびしょに汗をかきながら、
歌った。

                  ☆

予定は未定。
と、言う。
けれど、
予定は予定にしておきたい・・
そんな思いを抱きながら、
レコーディングのあと、
今後のスケジュール打ち合わせというようなことしながら、
マグロが自慢の立ち飲み屋さんで、久しぶりに呑んだ。

その後、
別の、
魚屋さんがやってる居酒屋さんていう、
めっちゃディープなところに飛び込みで入って呑んで、
ふらふらとしながら、アーケードを闊歩し、
駅の改札をくぐり、
行きと反対の方向へと帰ってきた。

気づいたら、家のソファーでうたた寝をして、さっき起きた。
顔には、ソファーの模様がついていた。

あぁ、また、いちから。
・・といった気持ち。


なぁ、
僕らは歩いてるんだろう。
進んでるんだろう。
すいすいと、ガタゴトと。
でもさ、
気づかないといけないよ。
時には、開いた窓から、自らの道を選んで、そこで次の道を選んで出ていかないと、
いつまでも、ぐるぐると、ガタゴトと、
同じサークルを回ってしまうばかりだぜ。

・・なんてことを、
ネボケまなこで天井を見上げてしまったのは、
山手線を乗った、今日だったからか。。


ちゅーことで、

っちゅーっちゅーっちゅー。

おやすみ。

明日な。
っつーか、

ほら、また、
今日だけど。





| 00:50 | CATEGORIES:自画像 |
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