染谷俊 TOUR 2011「One For All」

5/21(土)名古屋Bottom Line


暑い。最高気温29℃。ういろうもとろけだしそうな、熱気うずまく名古屋は今池。
我らが染谷の晴れ男っぷりはここでも健在だ。

さて、大阪公演のライブレポートでは、オーディエンスから見た染谷にフォーカスを当てたが、今回はステージ側の視点をレポートしてみたい。リハーサル直後、公演前の時間を頂戴し、染谷俊ライブツアーを支えるバンドメンバー、ベースのスティング宮本さん、ドラムの佐治宣英さんにインタビューを行わせて頂いた。誰よりも近い場所でアーティスト染谷俊を見ているお二人にとって、染谷とは、今回のツアーとはどんなものであるのだろうか。



―――――大阪・福岡・広島と三公演を終えて、いかがでしたか。
佐治ちゃん やりやすかったですね。
スティングさん うん。何度も染谷のライブはやっているけど、また違う感じだったね。PAの子も変わって、心機一転的な。また新しい3人の音が出来ているような気がするよね。
佐治ちゃん そうですね。まぁ色んな要素があったとは思うんですけど。
スティングさん 良い意味で、楽に出来てる。無理に力いれなくても迫力あるライブが出来てるね。染谷の声の調子も、今回はずば抜けて良いし。セッションしている感じが非常に強い。

―――――今回、震災を経てのライブとなり、染谷さんも今までのライブとは少し違う取り組み方をされたとは思うのですが、お二人から見ていかがでしたか。
佐治ちゃん 特にそれは感じないんですよ。変に気負っている感じは無いですね。
スティングさん 震災だからどうっていうのは無いね。
佐治ちゃん 逆にその方が良い。我々は我々だっていう感じで、いいんじゃないかなって思います。
スティングさん 染谷のメッセージは、MCよりも歌そのものだからね。
佐治ちゃん ずるいですよね。いい男ですよね。
スティングさん こういう時にあえて言わないっていう。歌を聞いてくれれば分かるからね。普通みんな言うからね。難しいんだよね、実は「言わない」っていうのは。
佐治ちゃん ずるい男ですよ(笑)。
スティングさん ずるい女に続くね(笑)。

―――――新曲が3曲もありますね。加えて、本日出来たての曲も。開演4~5時間前に聴いて、演奏するって、凄いですよね。
スティングさん まぁでも作るっていうのが凄いよね。
佐治ちゃん そうですよね。我々よりも染谷さんがね。ツアー中に曲が出来ちゃうっていう。
―――――丸1日経ってないですよね。
スティングさん 曲も詞もね。
佐治ちゃん 昨日移動のときにちょっとやり始めて、スタジオ入って出来ちゃう。やっぱりいいんじゃないですか。ノッてるんじゃないですか、今回。環境やライブがいいから、出来るんじゃないですかね。

―――――そういった染谷さんのひらめきについて、どう感じますか。
スティングさん まぁ、俺らは「エー」とは言えないからね(笑)。
佐治ちゃん でも、楽しいですよねやっぱり。新しい曲を作っていくっていうのは。

―――――こういうひらめきっていうのは、結構毎回あるものなんですか。
佐治ちゃん まぁそうですね。突然みたいなのは結構ありますよ。曲が全然変わるとかは、しょっちゅうですね。でもまぁ、アーティストが歌いたいっていうものを、大事に、可能な限り力になれればいいなとは思いますよね。
スティングさん そういうのって、実はトリオの良いところなんだよね。もしこれが、もっとサポートが多かったら、出来ないかもしれないし。

―――――お二人とも、色々なアーティストの方と共演されていらっしゃいますが、染谷さんのように突然ひらめく方というのは、多いのですか?
スティングさん あまり無いですね。
佐治ちゃん 無いですね。

―――――やはり特異な感じ?
佐治ちゃん 特異ですね。完全に特異。
スティングさん あとやっぱりライブハウスツアーっていうのもあるからね。なんかこう、フットワークが軽い感じっていうのがやっぱりお客さんも、良いかなと思う。そういうところがライブハウスの良いところですよね。


―――――染谷さんのライブを、オーディエンスとして見たらいかがですか。
佐治ちゃん 圧倒されるんじゃないですかね。エネルギッシュ過ぎる。
スティングさん でも、その激しい後のバラードがまたいいんですよ。なんていうんだろう。
佐治ちゃん アメとムチ方式(笑)。
スティングさん そう!ずるいんだよね。バカヤローって言った後に、抱きしめる的な。
佐治ちゃん またMCがいいんですよね。あんな正直でグッとくるMCってなかなか無い。まぁ最近ちょっと、下ネタとかも若干挟みつつってのはありますけど(笑)。基本的には後ろで聴いていても、ちょっとキュンとしてしまうなぁと。
スティングさん 作らないからね、染谷は。かっこつけないっていうか、とりつくろわないっていうか結構普段通り、ナチュラルで。言ってることも、詞の内容もね。

―――――染谷さんのライブにくるお客さんは、どういう感じなんですか?
佐治ちゃん みなさん楽しそうですよね。よくあんなに汗かけますよね。よく手が上がるなぁと。
スティングさん 二時間半も、よく立って見れるなぁと思いますね。実は演奏してる方より疲れると思う。俺、人のライブ二時間見れないもん。
佐治ちゃん ほんとに、そうですよね。とんでもないですよ。

―――――お二人から見て、染谷さんというのはどういう人間ですか。
佐治ちゃん まぁ、あのまんまの人ですよね。正直で。
スティングさん 裏表がないよね。なんかね、敵と仲間になれるタイプなのよ。ケンカした相手と仲良くなれる、嫌な人と仲良くなれるタイプ。上っ面じゃない。

―――――ライブのあのままなんですね。
佐治ちゃん そう。
スティングさん ホントにそうなんですよ。下ネタのエロさも(笑)。

―――――後半戦に向けて、意気込みをお願いします。
スティングさん 集中力と健康に気をつけて。
佐治ちゃん まぁ、いつも通り。やれることをやるだけですよ。



 お二人のお話を聞いていて感じたことは、このトリオは似ているということだ。ビジュアルも空気感もバラバラではあるのだが、気持ちよく肩の力が抜けていて、相手に壁を感じさせない。メンバーとして、お互いの技術を尊敬し、信頼し合っている。そして何より、音楽を大切にしている。音楽の力を知っている。その共通項が、ド迫力の染谷ライブを支える、根っこにあるエネルギーの一つなのかもしれない。
 
 さて、名古屋でも大成功を収めた染谷俊ライブツアー2011『One For All』。今回の会場Bottom Lineは、アメリカのシアターを思わせるような、クラシックでおしゃれな作りのライブハウス。テーブルと椅子も用意してあり、最前列で盛り上がる方も多く居れば、ゆっくり飲みつつ楽しんでいる方も居たし、子連れのお客さんも居た。それぞれ個々の楽しみ方で観られるライブハウスというのは、中々無い。素敵な空気だ。
今回のライブで一番盛り上がりを見せたのは、やはりインタビューにも登場した新曲「花びら」の、初お披露目であろう。ツアー中に作曲し、ツアー中に演奏するアーティストというのは、まず居ない。染谷は語る。

「昨日、朝起きたら言いたいことが山ほどあって、ノートに書いているうちにメロディーが浮かんで。
その時広島に居て、久しぶりの休みだったんで、新幹線で飲みまくろうかと思ってたんですけど、歌が生まれやがって(笑)。とは言え、すぐには出来ないよなぁとは思っていたんだけど、一番のサビくらいまで出来ちゃった。でも流石に二番までは出来ないよなぁって。一番だけお披露目か、名古屋でこの歌が生まれましたって報告出来れば、良いのかなって思いながらBottom Lineさんにお願いしてスタジオ取って頂いたんですけど、段々出来てきちゃって(笑)。・・・とは言っても、メンバーに当日にやって貰うのも悪いなぁって思ってたんですけど、昨日の夜話してみたら「リハ録りでやってみよう」って言ってくれて。それで、今日やってみたら・・・出来ちゃったんですよ。いつかは、みんなと一緒に歌える歌になればいいなと。」



光栄なことに私はリハ録り、つまりこの曲が生まれる瞬間に立ち会えた。
ライブ3時間前のリハーサルで、初めて音を合わせる。ポイントを伝えつつ、譜面に書き込みながら、弾きながら、完成させていく。目に見えない完成品を探しながら、大切な人へ伝えたい言葉を、一つ一つ確かめながら選ぶように。素人目にも、物凄い集中力と高い技術が必要だというのが分かった。つい3時間前にはぼんやりとしか存在しなかったものが、新しく命を吹き込まれ、今こうしてオーディエンスへ向けて演奏される。

 ふわりとしたピアノから始まるこの曲は、やわらかい、春の陽だまりのような歌だ。初めて聴くのに、どこか懐かしさを感じさせる。花びらに包まれているような、優しい歌。確かにその日は夏のように暑い日だったのに、ライブハウスだけ春に戻ったような、心がじんわりと温かくなるような一曲だった。
  前回のライブレポートで、染谷は「今」を生きているという事を記したが、正に今回の「とは言えツアー中に中一日で新曲出来ちゃった事件」はそれを如実に現していたと思う。今、何が起こるか分からないのが、染谷俊のライブであり、醍醐味なのだ。残り7公演。果たして次は、何が起こるのだろう?
染谷のライブはいつでもto be continued…なのだ。


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文:小島双葉