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2020.12.9

粋な返事は、「へぇ。」。


元気だなぁ。
近くの公園にやってきた幼稚園生軍団の声が、冬空へ響いてる。
その声のもっと高くでは、飛行機が近づいてくる音。
今日も世界は動いてる。

              ☆

昨日は午後から、浅草の西の方、
合羽橋通りに買い物に行った。
街は閑散としていた。
特に、雷門周辺より1キロほどのちょっと離れた場所にある合羽橋には、
自分たちを入れて、
2、3組の人たちが通りを歩いているような感じだった。

浅草に着いてそのまま寄り道はしないで合羽橋でお目当てのものを探し始めたけど、
なかなか見つからない・・・というか、他の物ばかりに目がいく(笑)。
ラーメンどんぶり、お寿司を乗せる板、包丁、小鍋・・・
やばい!このままだと埒が明かない!ひとまず、腹ごしらえで買い物休憩!
・・ということで、連れの染谷チームスタッフとふたり、
浅草方面に戻り、寿司通りのあたりを探索パトロール。

まだ15時ぐらいということで、
アヤシイ居酒屋さんたちは昼寝のさいちゅう。
そんな中、
すごく立派な佇まいの、見るからに高そうなお寿司屋さんを発見。
「やばいです、つまみ一品で800円ぐらいしますよ」と、
外に出ているメニューのノートを覗いて、スタッフが言う。
「上寿司とかで、7千円ぐらいするっしょ、やめやめ」と、
また、あたりを探索。
ふっと、路地裏に見つけた小さな扉のお寿司屋さんが気になったけど、
もっと探そう探そう・・と、40分ぐらい、うろちょろパトロールをした。
道すがら、ビートたけしさんが足繁く通ったという、
くじら専門店居酒屋さんも見つけた。
お店はまだ開いていなかったけど、お店の外に貼られた、
サザンの桑田さんとかビートたけしさんの写真とかを見て盛り上がった。

結局、これだ!というお店が見つからず、
「じつは、さっき気になった店があんだよね」と、
先ほど、第六感が騒いだ、
あの小さな扉のお寿司屋さんに勇気を振り絞って入った。

扉を開くと、
入って奥正面の客間から、
いかにも下町あがりの元気の良い若い女将さんが振り向きざま、
「いらっしゃいませー」と粋のいい声をかけてくれた。
その隣には、20歳ぐらいよりもっと若そうなママが、
生まれたばかりぐらいの子供ちゃんを抱いて座っている。
娘さんとお孫さんか。
アットフォームだ・・・と、カウンターの大将を見ると、
こりゃこりゃ、すげー強面の・・、
湘南乃風のメンバーよりも全然いかつい、
任侠映画に出てくる強面俳優さんよりも断然強面の、
真っ白のダボシャツを着た、
丸坊主に、顔に傷跡の、細長い包丁を持った、
まだまだそこらで現役バリバリそうな、大将。
おぉおおおおおおお!
これは気合いを入れていこうとカウンターに座って、
まず・・「ビールもらえますか?」と、
いざ出陣。
ビビってて、楽しい時間は過ごせねぇ。
まー、どうにでもなるっつーもんよ。

で、

このお店は、
とってもとっても、
ちょーちょーちょー最高なお店でした。
何もかも美味しかった。
そして、お店の雰囲気も、大将も、
「まだ見習い」と叱られながらがんばってる兄さんも、
本当に本当に最高だった。
「お客さん・・・、この店入ったの、あたりですよ。
引きがいいすね。浅草じゃ、一番の店ですよ」と、
大将が静かに、でも、気持ちは威勢よく、話していた。
カッコいい。

うまぁい!!うまい!と食べながら、
もうちょっと飲んでいいですか?と
たびたび伺いながらお酒を注文すると、
「もちろんでやす。朝まで飲んでってくだせぇ。
なんか、つまみでも出しましょか」と、
出してくれたその全てが、
またまた、美味しかった。
「お客さんわかってますね・・。つまみとかはね、お任せが一番いいんです。
引き、持ってますねぇ・・」
と、包丁をトントン。そして、カウンター前の板張りの上に、
次から次へとすげぇもんが出てきた。
生つぶ貝。焼き魚。
いやいや、最高でした。

是非お店の方たちへビールおごらせてください!と伝えると、
「ありがとうごぜぇます。遠慮なくいただきます」と大将、
ぐびぐびっとビールを飲まれ、
少しすると、また、カウンター前の板張りの上につまみが出てきた。
「お客さん、サービスですから。
ビールまでご馳走になっちゃって、あたりまえです。
ちょうど入った時間が良かったんですよ。
引きがいいすね・・」と、
大将が頬あたりの高さで包丁を持ちながら横顔で言う。
カッコいい・・。

お値段のほうは、
普通、すげぇ高いお金になりそうな、そんな江戸前寿司だったけど・・
なんと、お安く、極上寿司一人前が3千円でした。
そして、飲み物代だけ。
「また来てくだせーね」と、見送ってくださったお店の皆さん。
ありがとうございました。
素晴らしいものを、ごちそうさまでした。

あぁ、楽しかった・・・・
・・という、
そんな、昨日だった。
そうそう、
結局、
美味いものを食べてるうちに、「ま、いっか」と、
合羽橋には戻らなかった。

「どんな用事で、今日は浅草へ来られたんですか?
え?合羽橋ですか・・。で?
あ、行くのやめたんですか・・・
いいじゃありませんか。
人生、出会いですよ。
今日、この店と出会ったんですから。
出会いは、一日、ひとつぐらいがちょうどいいんですよ。
・・へぇ。」
そう、大将も言っていた。

              ☆

今日は、歌詞ノートの整理。
暗記するものと、もう処分するものを分けたりした。
そして、倉庫の掃除。
今年はそんなにお前の出番なかったなぁ・・と、
エレピのP-500を見つめて、心で話しかけたりする。
もうちょっと待ってよぜ。
来年は、バリバリ、行こう、旅しよう、いろんなとこ・・
とかなんとか、話しかけたりする。

明日からの個人リハーサルで使うギターも出してきて、
ケースの中身を整理したりした。
ポケットにはハーモニカたちを入れた。

夕方、スーパーに買い物に行って、
帰ってきて蒲鉾をつまみながら、Amazonプライムで映画を観た。
ピクサーの、『リメンバー・ミー』。
笑いと、涙。
それにしても、最近じゃ、涙がどれだけあっても足りない。

忘れないで、覚えていよう。
いろんなことを。
いろんな言葉を。
いろんな人を。
いろんな風景を。
いろんな歌を。